|
■□■ エンディング ■□■
「ジェイ、これからオレたちどうすんの?」
ゲストルームのベッドに横たわり、アーティアは隣のベッドに寝転んでいるジェイに言った。
母を捜す旅は、今日終わりを迎えた。
家に戻るというのもありだろう。だが、きっとそれも長くは続けられないだろうということが、アーティアにはわかっていた。
「ああ、俺も考えてた。ミハイルはたぶん今後イリアスをバレムで育てるだろう。
イリアスが大きくなるまでバレムにいてもいいとは思うが・・・。あるいは、今までのように旅がらすか」
「オレ、旅続けたいな。」
「アーティア・・・?」
旅を続けたいと言ったアーティアの声色が切なげに響いたように聞こえて、ジェイは隣のアーティアに目を遣った。
「母さん、やっと普通の家庭が持てたんだ・・・。邪魔したくない」
それは、珍しいアーティアの弱音だった。
アーティアは優しすぎて、母と一緒にいたいのにそうできないのだ。根は甘えん坊のくせに変なところに気を使うのである。
ジェイは起き上がり、アーティアのベッドに移って腰を下ろした。
「ジェイ、オレまだまだ旅し足りねーよ。続けようよ」
「・・・ああ、いいよ」
ジェイの返事を聞いて、アーティアは寝返りを打ち、ジェイに背を向けて「ありがと」とつぶやいた。
ジェイは、今のアーティアの強がりが脆いものだとすぐに気付いた。そして、胸の奥から湧き上がる思いを抑えきれなくなっていた。
「!」
ふいに、アーティアは背後からの温もりに包まれた。
「ジェ・・・イ・・・?」
「このままに・・・」
囁かれて、アーティアはうなずいた。
横になったまま背後から抱きしめられるなんて経験したことのないアーティアは、動揺して鼓動が跳ね上がっている。
しかし、しばらくジェイの体温を感じていたら徐々に落ち着いてきて、なんだかうれしいような恥ずかしいような気分になってきた。
「ジェイ・・・もう、」
「まだ。」
「う、うん」
どのくらいそうしていただろうか。
いつの間にか、アーティアの目は涙で濡れていた。ジェイに守られている、その温かさに、張り詰めていた気が緩んでしまったのだ。
つとめて明るく振る舞っていたアーティアは、本当はかなり無理をしていた。未だ成熟しない精神で、突然の大嵐に必死に耐えていたのだった。
ジェイには、痛いほどそれが伝わっていた・・・。
「・・・アーティア、俺と、いよう」
ジェイが腕の中のアーティアに、ゆっくりと静かに語りかけると、アーティアは小刻みに震えだした。
小さく嗚咽がもれている。
ジェイは、抱きしめる力を変えずにずっと、アーティアを優しく寛く包んでいた。
誰の前でも泣いたことがないアーティアが、今泣いている。
それが、すべてだった。
「・・・ほんと、ジェイって、叔父バカ・・・っ」
──ありがとう、ユン兄ちゃん。
アーティアは、心の中で呼ぶ彼の名前に思いを込めた。
FELLOWS!
第三話: Charming artifact (終わり)
|