LEMON
〜楽観的欠陥品〜

(2)




 オレたちは、日曜だというのに、窓を閉めきった部屋で真っ昼間からこんなことをしている。

 階下にはおふくろとばあちゃんがいるはずだ。たぶんテレビでも見てるんだろう。

 ひとつ年下の弟がオレにまたがり、唇を寄せてくる。

「気持ち、体にくっつけとけよ、皐月ぃ」

 唇の端をチュッと吸われた。

 両手に指を絡められ、ベッドに縫いつけられる。

 そんなこと言ったって、その方法がわからねえんだよ。知ろうとも思わねえけどさ・・・。

「知るかよ・・・」

 かすれた声が出た。

「知れよ」

 手がきつく握られる。

「皐月はこんなに気持ちいいこと、もっとしたいと思わないのかよ?」

 オレを見下ろす水無月の表情は、どこか寂しそうだった。

 水無月は気持ちいいのか・・・? 気持ちいいからオレを抱くのか・・・? オレに触ると気持ちいいのか? だからもっとしたいのか?

 キスの最中に思った、まだ足りねえって気持ちと似てるのかな・・・?

 ・・・わかんねえ。

 オレが無言でいると、水無月はくすっと小さく笑った。

「兄貴の考えてること、だいたいわかるよ。興味ねーんだろ、セックスなんて。この『なんて』ってのがくせものなんだけど」

 そう言ってキスしてきた。

 チュクチュクと音を立てて吸われ、舌先がオレの口内に割り込もうと探ってくる。隙間を見つけて滑り込んだ舌が歯列を撫でていく。

 押さえつけていた手を解き、水無月がオレの腰を抱き上げた。

 成長した水無月自身がグリッとオレ自身を擦った時思わず開いてしまった口内に、すかさず舌を差し入れられる。腰をさらに押し付けてくる水無月。

「んっ・・・ん・・・っ」

 口の中をなぶられながらの下半身への刺激はダイレクトに脳天に伝わって、押し付けられているそこに、また熱が集まりだした。

 オレ、気持ちいいのか・・・?

 ・・・わかんねえ。たぶんイイんだろう。でなきゃ勃ったりしねえよな。

 口の中が嗅ぎ慣れた臭いでいっぱいになる。

 触れ合う肌が熱い。

 熱いんだよ、水無月・・・・・・

「んあっっ」

 水無月がいきなりオレの両脚を開いて高く持ち上げた。腰を浮かされたオレは、体を折りたたまれるような格好になった。

「う・・・」

 背中を押さえつけられて、苦しくて呻いた。

「明るいところでこんな格好してるのに、皐月は恥ずかしがりもしない・・・」

 陽光に満ちた部屋の乱れたベッドの上でオレは、誰もが隠したがる場所をあばかれている。

「それとも、相手がオレだからって安心してんの?」

「ひぁっ!」

 内腿を舐め上げられた。

 安心? そうなのかな・・・わかんねえや。水無月意外とこんなことしたことねえし、したいとも思わねえし。

 実のところ水無月としたいって思ってんのかな、オレは?

 ・・・どうでもいいんだ、そんなの。・・・興味ねえ・・・。

 水無月とするとき、オレは下だ。なんでかって、そりゃ水無月が上だからだ。オレはヤられる側。別に嫌だと思わねえから抵抗はしねえ。だけどセックスが好きってわけでもねえ。オレは横になって水無月のいいようにされてるだけ。オレにとっちゃ、どうでもいいんだ・・・・・・こんなこと。

「あっ!?」

 水無月の舌が、無防備になった穴を這う。

「あぁっ・・・」

 こんな時どうするんだ?

 ・・・わかんねえよ。

 目を閉じるしかなかった。濡れた感触がチロチロと執拗にそこを攻め、潤していく。今にも入ってきそうな勢いだ。

「ヒクヒクしてんぜ、皐月?」

 だからそんなん・・・知らねえんだよ・・・っ。

「その顔、すげーそそる・・・。皐月はそんなつもりないんだろうけど、オレには・・・っ」

 水無月は潤ったそこに指を入れてきた。

「んっ!」

 経験のある異物感。

 オレの体はもうその異物感に慣れてしまっていた。ソコが、抽挿される指に合わせて、力の入れ方と抜き方で対応してる。

 無意識に反応する体を止められない・・・。

「オレ、もうこんなだよ・・・」

 そう言って水無月はオレの手を取り、自分のモノに導いた。

 カチカチに勃ってる。

「ココに入れたい。皐月ん中に入りたい」

 二本の指がオレの内壁を擦る。

「いいよな?」

 結局いつも入れるんだから、聞かなくてもいいのに。それともオレが嫌だっつったら止めんのか?

 オレは薄く目を開いた。

 水無月はオレ自身を口に含もうとしていた。

「ふあ・・・!」

 一番敏感なところが温かい湿り気に包まれる。その感覚がたまらなかった。

 体がビクビクいってる。

 オレ、感じてんだ?

 水無月の舌が竿にねっとりと絡みつく。

「は・・・ぁ・・・」

 溜め息とともに顎が上がった。

 ・・・これ・・・気持ちいい・・・っ

 ジュプジュプという音が耳につく。前と後ろを同時に犯されている・・・

「あぁ・・・、み・・・な、」

 頭がボーっとしてきた。

「皐月のカラダ、すっげーエッチ」

 んな・・・知らね・・・え・・・。

 おまえが、オレの体こんなん・・・したんだろ、が・・・っ

 すっぽりと全部含まれ、一気に吸い上げられた。

「〜〜〜〜ッ!!」

 ゾクゾクゾクと鳥肌が立つ。

 なんだよ・・・これ・・・っ

 また根元まで含まれる。

 ああっ、やべ・・・イキそ・・・

「はぅ!」

 再びきつく吸い上げられ、その強烈な吸引力に、オレはたまらず射精してしまった。

「オイシーね、皐月?」

 水無月が口をぬぐって微笑む。

「今、少しオレんとこ来ただろ・・・? もっと感じていいんだよ皐月。体が感じるまま・・・こっちに来ればいいんだ。もう・・・入れるよ?」

 指が抜かれ、水無月のモノがそこに当てられると、先端が押し広げるようには侵い入ってきた。

「ぁ、」

 なんて・・・大きい・・・っ。

「皐月・・・感じる・・・?」

「あぁ・・・んっ」

 ゆっくりと水無月が入ってくる・・・。

「オレがここにいんの、感じるだろ?」

 オレを犯しながら水無月が囁く。

「体だけじゃなくて心もちゃんと感じてるだろ?」

 水無月と・・・すげえ・・・熱で、繋がってる・・・。

「もっとよ悦くなりてーだろ、皐月」

「はっ!」

 ぐっと、奥の奥まで穿たれた。

 もっとよくなれる方法を、オレの体は知ってる・・・。教え込まれた愉悦が呼び覚まされる。

 無意識に腰が動く。

「皐月・・・」

「はぁっ、ぁあっ・・・あッ・・・」

 ソコに集中して思考が止まりかけた時、水無月の切なそうな声が聞こえた。

「皐月・・・なぁ、オレのことだけ考えて」

 水無月・・・何か言って・・・る・・・?

「ひとつになってるオレのことだけ考えてよ・・・!!」

「ひぁっ! んぁっ・・・あぁっ!」

 きついグラインドで掻き回され、嬌声をあげる口を、水無月の唇で塞がれる。

「んう・・・っ」

 ふいに舞い降りたあたたかさに、オレは腕全部ですがりついていた。

「皐月・・・?」

 これは、水無月の背中だ・・・。

 そう思ったら、なんだかホッとした。

 水無月はオレを抱きしめながら、リズム良く活塞しだした。

「はんっっ、あんっ、んっ」

 ソコを擦られていると、じんわりと染み出してくる甘い痺れで、だんだん全身が麻痺していくみたいな感覚になる。

「あっ・・・あ・・・あぁ・・・っ、みな・・・」

 水無月、どこ・・・だよ?

「皐月・・・、イイの? オレもすげー、イイ・・・っ」

 耳元で水無月の声がする。

「・・・みな・・・っ」

 ここは暗いんだ・・・。どこにいる、水無月。オレはどこに行ったらいいんだよ・・・・・・

「好きだ、皐月・・・」

 ふいに耳に入ってきた吐息は、すげえ、あったかくて・・・・・・。

 水無月・・・オレのこと、好きなんだ・・・?

「オレを感じる? オレがわかるだろ?」

 んっ、感じる・・・わかるよ・・・。

「・・・皐月、オレはここにいるよ・・・」

「は・・・あ・・・っあっ・・・あ・・・」

 揺すられながらオレはゆっくり目を開いた。

 眩しくて薄目にしかできなかった。けど・・・

「水無・・・月・・・」

 水無月がいた。

 あったかいな・・・、水無月・・・。

 オレはなんだか嬉しかった。

「皐月・・・っ」

 きつく抱きしめられる。

「好きなんだ・・・!!」

「んうっ、んっ、んんっっ!! ん!」

 激しく突き上げられた。はあ、はぁ、と水無月の荒い息が耳にかかって、ゾクゾクッと背筋を快感が走り抜けた。

「あ、あ・・・っみな・・・っあ、ダメ・・・また・・・っ!」

 オレはあっという間に登りつめてイってしまった。

 それは、とてつもなく爽快な解放感だった。

「皐月・・・っ・・・オレも、イクよッ」

 いっそう怒張を増した水無月がオレの中でビクッビクッっと痙攣して、オレはソコに放出される熱を感じた。





LEMON〜楽観的欠陥品〜

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